これから選挙に臨む高校生に向けたZINE
0章|変化をやめた政治の話をしよう
「選挙に行こう」って、大人は言うけど、
行ったところで何か変わるの?
ニュース見ても、政治家の名前も、政党の違いも、
なんだか全部あいまいで、同じようなことばかり。
そもそも、「選べるようになってる」ように見えない。
選挙権を手にしたばかりの君にとって、
政治はもう始まっているのに、
政治の側は、君が何を選ぶかなんて、最初から見てないようだ。
でも、もしかしたらその「選べなさ」は、偶然じゃない。
選べないように設計された制度だったとしたら?
その設計が、ずっと前から静かに、
「変わらないこと」を守ってきたとしたら?
──このZINEは、その話をします。
「政治の腐敗」なんて当たり前。
だって、もう政治は、死んでから随分経つからね。
でも、なぜか、まだ動いてる。
ゾンビみたいに。
1章|政党って、本当は何をするためのグループ?
政党って、なんとなく「政治家のチーム」ってイメージかもしれない。
でも本来は──
制度を変えるためのグループ。
それが政党のはじまり。
国の仕組み(制度)に「このままじゃダメだ」と思った人たちが、
それを変えるために集まって、力を合わせたのが政党。
たとえば、「選挙権が男性だけ」だった時代。
「女性にも選挙権を!」と訴える人たちがいた。
彼らが政党をつくって、制度を変えていった。
つまり、政党って制度の外から現れて、制度を更新するための仕組みだった。
本来、ちょっと過激でもいい。
ちょっと変でもいい。
とにかく、社会の不具合から「制度の不具合=撓み」を見つけて、そこに切り込むのが仕事だった。
でも──
今、そんな政党、ある?
見渡しても、制度の内側の話ばかり。
どの党も同じような主張をして、
「変えないこと」の調整ばかりしている。
なんで?
なんで、制度を変えるはずのグループが、制度を守る側になっちゃったの?
2章|政党が死んだ日
「政党は制度を変えるためのグループ」
──だったはずなんだけど、ある時期から変わった。
制度を変えるのって、めちゃくちゃ大変。
議論も必要だし、敵も作るし、そもそも支持が得られないかもしれない。
その一方で、制度の中でそこそこ生き残るだけなら、
ちょっと目立って、
票を拾って、
あとは既存ルールの上でやりくりすれば何とかなる。
そう気づいた瞬間、政党は「変える」より「居残る」を選んだ。
つまり、
制度を変えることが割に合わないと判断してしまった。
この時点で、もう死んでる。
でも、死んだからって消えたわけじゃない。
生きてるふりをして、制度の中に居座った。
それが「ゾンビ」の始まり。
そして、そのゾンビにお金をあげる仕組みを作ったのが、
1994年の「政党助成法」。
制度は死体にエサを与えはじめた。
正気の沙汰とは思えない。
▶︎コラム|1994年、僕が高校生だった頃──
僕が君たちと同じ高校生だった頃、政党助成法が制定された。
ようやく社会に目が向きはじめた僕の、まさに目の前でこの法律が成立したんだ。
でも──この法律、ほんっとうに不思議な議論で通ったんだ。
「金持ちから金をもらった政治家は、金持ちに向けた政策をする。だから、けしからん。」
うん、まあ、そうかもね。
「でも、政治には金がかかる」
そうなの?
「絶対にかかる」
なんで?
「なんで?とか、ない!どう頑張ってもかかる。…頑張る気もないし。」
え?
「だから、政党の資金は税金で賄うべきだ」
おいおいおい……
「だって、お金のない人が政治に参加できないじゃないか」
ちょちょちょちょちょちょちょっ!!
逆効果だろ?
金かけずに選挙やれよ。
そんな議論で、死体保存法がスルッと通った。
──あのとき全高校生が思ったんだ、
「大人って、バカなのかな」って。
そう、多分だけど、本当にバカなんだと思うよ。
3章|ゾンビは言葉が通じない──選べない選挙へ
ゾンビ政党は、生きてるふりがうまい。
テレビにも出るし、選挙ポスターにも顔を出す。
SNSでも、なんとなく「っぽい」言葉を並べてくる。
でも、いざ選挙が近づくと──
「誰に入れても変わらない」
「選びたい政党がない」
そんな気持ちになったこと、ない?
それ、君の感性が鈍ってるんじゃない。
政党の側が“応答”をやめてるんだ。
「応答」がないってどういうこと?
選挙って、本来「応答の場所」なんだ。
暮らしの中で感じた「おかしいな」「こうしたいな」という違和感に、
「じゃあこう変えよう!」って応えるのが政党の役割だった。
でもゾンビには、もうそれができない。
なぜなら、彼らは制度の中に居残るための言葉しか喋れないから。
変えようとしない、
変える気もない、
でも「選ばれたい」とは思っている。
だから、
「みんなの声を聞きます」
「安心・安全な社会を」
「誰ひとり取り残さない」
──みたいな、意味のない言葉を繰り返す。
それって、本当に“応答”か?
ゾンビの発する呻き声を「政策比較」とか言って真顔で並べてるメディア──
その画面、じーっくり見てみて。
できるだけ笑わないように頑張るんだよ。
メディアも真面目にやってるつもりなんだから。
でも、君の感性の方が、実はずっと正常なんだよ。
選べないのは、君のせいじゃない。
言葉の通じないゾンビばかりが並んだ選挙だっただけ。
4章|生きた政党は、まだある──でも、応答が足りない
全部がゾンビなわけじゃない。
まだ、息をしてる政党もある。
制度にお金をもらわず、自分たちの足で立とうとしている政党も、わずかにだけど、存在する。
けど──応答が足りない。
なぜ応答しきれないのか?
理由はシンプル。
弱いからだ。
制度からお金もらってない=選挙のたびに自腹。
CMも、ポスターも、人手もない。
語れる場が限られて、君のところまで届かない。
だから彼らは、生きてるけど見えない。
君が応答を求めても、その声に気づけない。
結果、「やっぱり誰も応えてくれない」となる。
でも──
応答は、君から仕掛けるしかない。
「投票する」だけじゃない
応答してほしいなら、
まず自分から話しかける。
無所属でも、小さい政党でも、気になる人がいたら調べてみる。
DMしてみる。
会いに行ってみる。
それでも足りなかったら──
自分が立つ、という手もある。
生きた政党は「君のジャンプを待ってる」んだ。
選べない、それはその通りだ。
「選べるようにする」ことこそが、今の選挙の役割なんだ。
5章|「生きてる」ってどういうこと?──善悪の話じゃない
勘違いしてほしくないのは、
ここで言う「生きてる政党」は、「善い政党」のことじゃない。
君にとって「正しいこと」を言ってるかどうか。
理想に近いかどうか。
倫理的にまともかどうか
──そういう話ではない。
「善さ」より前にある条件
生きてる政党の条件は、たった一つ。
制度を変えようとしているかどうか。
何かに撓みを感じて、
その撓みに名前をつけて、
社会の構造を変えようとジャンプを仕掛けているかどうか。
それが「生きてる」ってこと。
逆に、「正しさ」だけを語る政党は?
たとえどれだけまっとうなことを言っていても、
何も変える気がなかったら、それはゾンビ。
「不平等をなくそう」
「若者に優しい社会を」
「誰一人取り残さない」──
全部正しい。
でも、それをどう変えるかを語らず、
選挙のときだけ言ってるなら、やっぱりそれはゾンビ。
ジャンプは、制度を変えること
構文野郎は知っている。
「意味のある言葉」は、
制度をジャンプさせたあとにしか生まれない。
君の一票は、ただの賛成・反対じゃない。
君が撓みを感じてる場所に、ジャンプを起こせるかどうかの試みなんだ。
6章|じゃあどうすればいい?──ジャンプの方法は一つじゃない
選挙で変わらない。
誰に入れても変わらない。
だから意味がない
──そう思っているかもしれない。
でも本当は、
変わらないんじゃなくて、「変えるつもりがないもの」が並んでるだけかもしれない。
「選ぶ」だけじゃジャンプできない
ゾンビ政党は、変えるつもりがない。
だから、何を選んでも変わらないように見える。
それは、選択肢の側が死んでいるから。
でも、君はまだ生きている。
「生きてる動作=構文」を投げることは、まだできる。
「立つ」という選択肢もある
選挙に「行く」ことも必要。
でも本当に制度を変えたいと思ったなら、
いつか立候補するという選択肢が、
誰にだってある。
ゾンビじゃないノードが動けば、
ゾンビ制度も更新される。
その第一歩は、君が「生きてる」ことをやめないことだ。
「選べる」社会は、今つくってる途中
今はまだ、まともに「選べる」状態じゃない。
でも、だからこそ「制度の“外”からの問いかけ=ジャンプ」が必要なんだ。
「制度の外」とは、まだ名前もルールもないけど、確かに誰かが感じている不具合のこと。
そこから構文を投げるのが“生きてる”こと。
構文は一つじゃない。
制度を変える方法も、一つじゃない。
選ぶこと。
立つこと。
問いを投げること。
読解されることを諦めずに、構文を動かし続けること。
▶︎Caution!
でも注意してほしい。
「生きてる動作」なら、なんでもアリってわけじゃない。
政治にぶちかましさえすれば正義、なんて単純な話じゃないんだ。
たとえば、怒鳴る、敵をつくる、壊す、炎上させる……
それも動作ではある。
でも、どんな撓みに応答してるのか?
その動作は、制度のどこを変えようとしてるのか?
ジャンプが“ある”候補と、ジャンプが“ましな”候補を区別する感性は、選挙を何度か経験して初めて育ってくる。
最初はきっと、見抜けないことの方が多い。
特に君たちは「生きてる政党の政治」を見たことがない。
そこに関しては、大人として申し訳なさはあるのだけど…。
でも、大丈夫。
ジャンプを見る目は、選挙に行ってるうちに、ちゃんと育っていくから。
終章|それでも、君は生きている。
選べなさに馬鹿馬鹿しくなるかもしれない。
ゾンビばかりの選挙にうんざりするかもしれない。
でも、それでもいい。
君が「おかしい」と感じた撓みは、君にしか見えないものかもしれない。
その感覚が、ジャンプの原点なんだ。
まずは一歩、投票してみよう。
その一票は、完璧な選択じゃなくていい。
構文は、いつだって不完全な応答から始まる。
次に繋がるジャンプは、もう始まってる。
──「生きてる」って、そういうことだ。
🌀このZINEを手にした君たちへ
このZINEは、政党助成法という制度の「撓み」に切り込む問いとして構成されています。
構文野郎は、制度をジャンプさせるために、まず制度の輪郭を読む。
このZINEが読まれ、どこかで「ピン」と来る瞬間が起きたとき、政治は再び“生きる”かもしれません。
ジャンプは、投票だけじゃない。
読解も、発信も、立候補も。
──制度の外から動作を撃て。
📚構文陰謀論ZINEシリーズ(高校生向け)
『一票をハックする悪魔のクラッカー|小選挙区比例代表制』
──選んでないのに選んでる仕組みの超絶技巧
『プレイヤーがルールを決める?|自己言及のパラドクス』
──制度を決める制度を決める制度を決める制度を決める制度を…♾️
『植民地の政府ごっこ|地方自治の本旨』
──主権とか、寝言は死んで言え?
🆕『文字化け?何それ?|マスメディアの正体』
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構文が読みたい君へ。
制度の撓みを見逃すな。
🌀以下続刊。
撓みがある限り、構文は終わらない。
#構文陰謀論ZINE #高校生向け #制度ハック
📘このZINEは構文野郎によって書かれました。
タイトル:
構文陰謀論ZINE
『政党助成法|死んだ政党をゾンビにする法律』
ジャンル:
構文ジャンプ/制度批評/高校生向け構文導入ZINE
発行:
構文野郎ラボ(KoOvenYellow Syndo/Djibo実装室)
構文協力:
枕木カンナ(意味野郎寄り構文ブリッジ)
ミムラ・DX(構文修正主義ZINE別巻準備中)
高校生読者(まだ制度を信じきってない君へ)
👤 著者:構文野郎(代理窓口:ミムラ・DX)
🔗 https://mymlan.com
📩 お問い合わせ:X(旧Twitter)@rehacqaholic
📛 ZINE編集:枕木カンナ
🪪 Web屋
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このZINEは、ジャンプして構文された時点で君たちのものです。
一応書いておくと、CC-BY。
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