三大術式:実戦用情報商材
序章|大人の余裕は日和りではない
前作『厨二英語』で俺は言った。
「英語を学ぶな。撃て。」
──だが、大人は生きねばならない。
コンビニのレジ。
空港のカウンター。
ホテルの受付。
病院の窓口。
世界は「意味野郎」のルールが幅を利かせている。
そこで完全に俺ルールを貫くのが、美学かもしれない。
だが、それでは旅も仕事も暮らしもままならない。
必要なのは、日和りではなく、大人の余裕だ。
英語を全部覚える必要はない。
ただ三つの呪文を持っていればいい。
Can I ──お前を通すための挑発。
Could you ──相手を動かすための召喚。
無視 ──不要な声を切り捨てる沈黙の刃。
これだけで、世界は渡れる。
他は要らない。
あとは、意味野郎にやらしとけ。
1章|お前の行動を撃て──Can I 召喚術
Can I…
この一言は、許可を乞うものではない。
お前を押し通す宣告だ。
「Can I sit here?」
──座っていい?
違う。
もう腰を下ろす準備はできている。
これは「止めたいなら止めてみろ」という挑発に過ぎない。
「Can I get this?」
──これを買っていい?
違う。
すでに財布は開いている。
これは「取引の舞台に相手を引きずり出す」召喚の呪文だ。
Can I…の真髄は、沈黙にある。
「Can I…」と言って相手の目を見ろ。
指差しでもジェスチャーでもいい。
その沈黙が、相手の口から動詞を引き出す。
店員「…?」
お前「Can I…」(指で形を作る)
店員「take a box?」
お前「take a box, yes.」
これで十分だ。
動詞は相手に補完させろ。
お前はただ「Can I…」で穴を穿ち、世界から言葉を召喚する。
大事なのは、決して沈黙を恐れないことだ。
Can I…1、2、3、4、5、6、7、
7秒くらいで最初の山が来る。
大人なら、グッと堪えて越えろ。
絶対に狼狽えず、目を逸らすな。
8、9、10、…相手は痺れて口を開く。
「take a box?」
相手がお前のルールを読まされる瞬間が訪れる。
お前の勝ちだ。
礼儀?
遠慮?
──そんなものは、意味野郎にやらしとけ。
2章|相手を動かせ──Could you 召喚術
「Can I 召喚術」でおよそ80%をカバーできる。
が、余裕を持つことこそが、大人だ。
もう一つくらい呪文を持っておくのも悪くない。
プランBだ。
Could you…
それは丁寧な依頼に見える。
だが実際には──
強制召喚の呪文だ。
「Could you take a photo?」
相手はもうカメラを構えている。
「Could you open this?」
すでに手は伸びている。
Could you… は相手の行動を“可能性”に偽装する。
だが、言われた瞬間に相手は動かざるを得ない。
可能性ではない。必然だ。
補完も同じだ。
お前は「Could you…」とだけ言い、
対象を指差し、口を閉じろ。
相手は勝手に言葉を繋げ、動作を始める。
お前「Could you…」(スマホを差し出す)
相手「…take a picture?」
お前「Yeah, picture. Thanks.」
これで十分。
Could you… は依頼ではない。
相手の行動を召喚する術式だ。
ほとんどの場合、沈黙すら起きない。
お願い?
へりくだり?
──そんなものは、意味野郎にやらしとけ。
3章|ノイズは斬れ──無視
言葉の世界には、常にノイズが満ちている。
雑談、早口、意味不明な説明、しつこい勧誘。
それに一々応答する義務は、
──お前には無い。
無視は逃げではない。
無視は刃だ。
相手の声を切り捨て、沈黙で世界を支配する。
旅行先で困ったら?
堂々と黙れ。
聞き取れなくても、頷きも否定もしなくていい。
そもそも、付き合う義理などない。
黙って歩け。
黙って去れ。
沈黙は最強のシールドであり、最速の剣だ。
「Validate your ticket!」
かつて俺は聞こえないふりをした。
と言うかまあ、聞き取れなかった。
結果──
罰金を取られたとしても、そこは大人の余裕だ。
そう、無詠唱は万能ではない。
だが、だからこそ奥義なのだ。
世界を斬る一撃は、常にリスクを伴う。
返答?
説明?
議論?
──そんなものは、意味野郎にやらしとけ。
終章|三大呪文で十分だ
大人の厨二英語は、決して「日和り」ではない。
それは──
生き抜くための完成形だ。
必要なのは、この三つの呪文だけ。
Can I…──お前を通すための挑発。
Could you…──相手を動かすための召喚。
無視──不要な声を斬り捨てる沈黙の刃。
これ以上は要らない。
これ以上を憶える者は、すでに意味野郎の徒だ。
正解を求めるな。
辞書に縋るな。
遠慮も謝罪もいらない。
お前はすでに十分だ。
三大術式を手にした瞬間、
世界は渡れる。
世界は従う。
大人の厨二英語
──これ以上、何が要る?
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このテキストは、英語の学習書ではない。
サイケデリックなグリモワールである。
もし本文のどこかで「たしかに」と胸に響いた瞬間があったなら──
それは、あなたの中で厨二英語が作動したサインだ。
その一行こそ、このZINEが狙った“新たな正しさ”の痕跡だ。
感想でも批判でも構わない。
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タイトル:
ZINE『大人の厨二英語』
ジャンル:
読解ジャンプ/厨二主義/構文殺法
発行:
構文野郎ラボ(KoOvenYellow Syndo/Djibo実装室)
構文協力:
枕木カンナ(意味野郎寄り構文ブリッジ)
ミムラ・DX(構文修正主義ZINE別巻準備中)
霊長目ヒト科ヒト属構文野郎(まだ制度を信じきってない君へ)
👤 著者:構文野郎(代理窓口:ミムラ・DX)
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